『場面緘黙児への支援』『場面緘黙Q&A』が引用されてる

2011年03月09日(水曜日)

近年、かんもくの会やかんもくネットといった、国内の緘黙支援団体が関わって刊行された『場面緘黙児への支援』や『場面緘黙Q&A』が、国内の専門雑誌に引用されたり参考文献に挙げられたりされるようになってきています。学術関係者や専門家の間でも、認められてきているということなのでしょうか。

私も全ての国内の論文に目を通したわけではないのですが、分かる範囲で書きます。

■ 『場面緘黙児への支援』の被引用状況

『支援』は、カナダの本の邦訳書です。同書を引用した文献はいくつか見かけますが、特筆すべきは、愛媛県総合教育センターによる『長期研修講座研究集録』に収録された研究報告です(高市, 2008)。「人」「場所」「活動」の三つの要素に着目してスモールステップの個別支援プログラムを作成し、支援チームを組むなど、『支援』で紹介された支援技法を大幅に取り入れています。

このほか、筑波大学のグループによる事例研究(例えば、本田ら, 2008)や、『精神科治療学』に掲載された場面緘黙症の概説(河村ら, 2008)に、『支援』が引用された例も確認しています。

■ 『場面緘黙Q&A』の被引用状況

かんもくネットの講演会で講師を務めるなどした金原洋治氏や、同じくかんもくネットが出版に深く関わった『場面緘黙へのアプローチ』の監訳者杉山信作氏は、専門雑誌の記事の中で、同団体の『Q&A』を引用しています(例えば、金原ら, 2009; 杉山ら, 2010)。また、かんもくネットウェブサイトに応援メッセージやリンクのある中川信子氏にしても同様です(中川, 2008)。しかし、緘黙支援団体が関わった本を引用した専門家は、これらの方だけにとどまりません。

例えば、中村このゆ氏による、『児童心理』に掲載された論考「場面緘黙の子への援助」は、その一例です(中村, 2010)。また、上述の『長期研修講座研究集録』(高市, 2008)や『精神科治療学』(河村ら, 2008)でも、『Q&A』が引用されています。

余談ですが、かんもくネットが出版に深く関わった『アプローチ』は、学会誌『児童青年精神医学とその近接領域』に書評が載ったことがあります(渡部, 2010)。また、かんもくネットのウェブサイトは、それ自身参考文献として挙げられることがあります。

[文献]

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◇ 金原洋治, 鮎川淳子, 坂本佳代子, 冨賀見紀子, 小谷秀勝(2009). 選択性緘黙23例の検討-発症要因を中心に-. 外来小児科, 12(1), 83-86.

◇ 河村雄一, 駒井恵里子(2008). 場面緘黙(選択性緘黙). 精神科治療学, 23増刊, 238-241.

◇ 杉山信作, 西田篤(2010). 場面緘黙(選択性緘黙). 精神科治療学, 25増刊, 283-285.

◇ 高市秀昭(2008). 場面かん黙児に対する学校としての支援の在り方-教師への啓発と支援プログラムの実践を通して-. 長期研修講座研究集録, 73-76.

◇ 中川信子(2008). 場面緘黙(選択性緘黙)について. 月刊地域保健, 39(8), 91-95.

◇ 中村このゆ(2010). 場面緘黙の子への援助. 児童心理64(16), 91-95.

◇ 本田真大, 永井智, 植村みゆき, 桑原千明, 三鈷泰代, 濱口佳和(2008). 選択性緘黙を持つ9歳女児への挨拶課題の適用-学校場面への発話行動の般化に至るまでの経過-. 発達臨床心理学研究, 19, 7-14.

◇ 渡部泰弘(2010). 場面緘黙へのアプローチ―家庭と学校での取り組み―Rosemary Sage & Alice Sluckin編著. 児童青年精神医学とその近接領域51(1), 49.