[緘黙] 一人で勉強は性に合う [ストーリー]

2011年06月01日(水曜日)

このブログでは、私の過去を連載形式で振り返っています。今回は高校生編の第16回です。通算第74話をお届けします。

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■ 学校で居残り勉強、一人は性に合う

高校2年の後半あたりになると、新たに補習授業が課されたりテストが頻繁に行われるようになったりして、学校での勉強の負担がさらに増えていきました。このあたりから、私も、このクラス(特進下位)についていくだけでも大変と感じるようになり始めました。

ちょうどこの頃より私は、放課後、学校に自主的に残って勉強をするようになりました。当時、放課後に居残り勉強をするようなクラスメイトは他に誰もいなかったのですが、もともと友達もおらず一人で行動するのがほとんどだった私は、何のためらいもなく独断で一人で残っていました。この時期には緘黙が軽くなっていたからかもしれません。学校は夕方5時頃には原則閉まることになっていたので(早すぎる!せめて7時までは残らせてくれよ)、それまでの間、毎日ぎりぎりまで残って勉強していました。

放課後の教室は、私の他に誰もいないことがほとんどでした。せいぜい、部活動を終えた一部生徒が、遅い時間帯に教室にちらほら戻ってくる程度でした。学校を後にする5時頃になると、校舎には人がほとんどいませんでした。特に冬だとこれに暗さが加わり、人気のなさと暗さで校舎は何とも言えない雰囲気でした。しかし、私はこうした雰囲気を気に入っていました。やはり孤独は自分の性に合っていたのでしょう。

対照的に、高3の夏休み中、冷房のきいた大教室が自習室として開放されるようになったのですが、私はここでは勉強はしませんでした。この大教室には、人がたくさん来ていたからです。どうも人が集まった所は苦手です。

ところで、放課後の誰もいない教室でも、私は家のように簡単にリラックスはできませんでした。緘黙の子を支援する方法の一つに、放課後の無人教室で声を出してみるというものがありますが、もし当時の私がこれを試してみても、そうたやすく家にいるように大きな声が出たとは思えません。

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◇ 声が小さいサッカー部員

この頃、こんな出来事を目撃しました。席替えにより、教室の窓側のグラウンドが見える席にいた時のことです。そろそろ5時なので帰ろうとしたところ、グラウンドで練習をしていたサッカー部が練習を終え、解散を始めました。ですが、一人のサッカー部員が監督に呼ばれ、注意を受けていました。声が小さいことで厳しい指導を受けていたのです。

運動部ならこうしたことは日常茶飯事なのかもしれませんが、学校で声が出ない私は、少しぞっとする思いで見ていました。私は体育の授業でも、声を出すべきところで声が出ませんでした。スポーツによっては、声が出ないと、大きなハンディになるかもしれません。

■ 深夜大好き

帰宅後も、深夜遅くまで勉強です。

深夜はもちろん真っ暗闇で、家庭内はもちろん近所もみな明かりが消えて寝静まった様子でしたが、私はこうした雰囲気も気に入っていました。自分一人だけの静かな時間という、こうした感覚が私にはたまらなかったのです。つくづく孤独が好きなんだなと思います。これも、もとはと言えば、緘黙と極端な引っ込み思案で友達ができず、そのうち一人でいることに喜びを見出すようになった小学校時代の経験に端を発しています。

■ 勉強は自分との闘い

大学受験は、全国の受験生との戦いです。大学合格の目安として重視される偏差値にしても、他の受験生との比較で求められるものです。

ただ、勉強そのものは、自分との闘いという一面があります。一人でいることが多い私にとって、自分と向き合う勉強は性に合っていたのだろうと思います。もっとも、私は変り種で、孤独に苦しんでいる緘黙の人の方が多いのではないかとも思うのですが。

こうして、自習時間は一人で過ごす日々が続きました。大事な時期に勉強に集中できたのはよかったのですが、緘黙の克服という点では逆行していました。

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