「緘黙児童」が登場するという漫画『力の在り処』

2011年12月13日(火曜日)

力の在り処 1 (IDコミックス DNAコミックス)各種ネット通販サイトで、「緘黙児童」が登場すると紹介されているという漫画があります。榎本ナリコ氏が描いた『力の在り処』という作品です。

「緘黙児童」というと、ふつう、場面緘黙症か全緘黙症の子どものことを指すのではないかと思います。例えば検索エンジンで "緘黙児童" と検索すると(""でくくるのがポイントです)、ヒットするコンテンツの多くは緘黙症に関するものです。ですが、そもそも「緘黙」は、よく言う緘黙症のことではなく、単に押し黙っていることを意味することもあります。

そこで、同作を実際に読んで、「緘黙児童」がよくいう緘黙児のことなのか確かめてみることにしました。結論を言うと、確かに物を言えないマコト君という小5男子が主要人物の1人として登場するのですが、この子が緘黙症かどうかは、はっきり分かりませんでした。彼の状態は全緘黙症に似ているのですが、それとは少し違う特徴も見られます。何より、肝心の作中に、マコト君が話せないのは医学的にどう説明されるのか、診断名は何かといったことが描かれていません。緘黙症が取り上げられた漫画だったら面白かったのですが……。

ただ、もしマコト君が緘黙症でなかったとしても、友達もおらず孤立していたり、いじめを受けたり、ちょっと内気なだけだとして問題を親に深刻視してもらえなかったりと(もちろんそういう親ばかりでもないのですが)、彼が直面する問題は緘黙症の子と通じる部分があり、面白く読めました。

『力の在り処』は全2巻ですが、マコト君はいずれの巻にも登場します。青年漫画(成年漫画ではありません)で、やや大人向けの内容です。

※ 私が読んだものは2002~2003年にアクションコミックスから出た単行本(全2巻)ですが、初出はほぼ同時期に『Weekly 漫画アクション』に連載されたものです。なお、同作は2010年に一迅社より新装版が出ています(全2巻)。