不安を持つ子を、保護者が支援するための洋書

2012年01月24日(火曜日)

Freeing Your Child from Anxiety: Powerful, Practical Solutions to Overcome Your Child's Fears, Worries, and Phobiasアメリカの Amazon.com で、場面緘黙症の本のページを見た人がよく買った商品の一つに、Freeing Your Child from Anxiety という本が挙げられていました。この本は、アメリカの大手緘黙支援団体が、緘黙児の保護者に推薦している本の一つでもあります。そこで、私も買って読んでみることにしました。

この本は、緘黙を主題にした本ではありません。社会不安やパニック障害、強迫性障害ほか様々な子どもの不安を幅広く扱った本です。その内容は、不安の総論と、具体的な各問題とその対処法をまとめた各論の、大きく二つの部分に分けることができます(実際は三部構成ですが)。緘黙も各論の部分で書かれてはいますが、なにしろ守備範囲が広い本なので、緘黙のために割かれているページ数は2ページだけです。

主な読者層として想定されているのは、不安を持つ子どもの保護者です。保護者が、不安を持つ子に対してどのような支援を行えるかが具体的に記されています。比較的平易な英文で書かれていて、読みやすいです。支援の内容は認知行動療法ですが、行動療法による『場面緘黙児への支援』と重なる部分もあります。全体的に『場面緘黙児への支援』と似た性格の本と言えます。

『場面緘黙児への支援』の原書 Helping Your Child with Selective Mutism が日本で紹介された当時は、英語の本にもかかわらず日本でも買った人が結構いたようで、 Amazon.co.jp の売上ランキングでわりと上の方の順位に入っていました。今回の本は緘黙専門の本ではないので、英語を読むのが得意だとか、英語が好きだという人でもない限り、無理して読む必要はあまりないようにも思います。ですが、緘黙を理解する上で参考になることが書かれてありますし、また、緘黙の子は緘黙以外にも不安に関連する何らかの問題を持っている場合があるので、英語が苦手でないという人は読んでみてもいいかもしれません。特に、Helping Your Child with... が役立ったという方には、面白い本だろうと思います。

私がこの本を読んで改めて強く感じたのは、不安による問題で日常生活に支障をきたしている子どもは、緘黙児以外にもたくさんいるということです。子どもの不安といっても様々な問題がありますが、その中で、緘黙は他の問題と比べてどういった特徴があるのか、どこが共通しているのか、そして、緘黙の問題はどう位置付けることができるのか、そういったことを考えるヒントを、この本を読むことにより得ることができました。