春日武彦『緘黙―五百頭病院特命ファイル―』という本が出たが

2012年02月07日(火曜日)

緘黙: 五百頭病院特命ファイル (新潮文庫)新潮文庫より、『緘黙―五百頭病院特命ファイル―』(春日武彦作)という本が2012年2月1日に発行されました。なにしろ『緘黙』と題する本です。加えて、冒頭の解説ページには、「全緘黙」や「選択性緘黙」といった用語が出てきます。手を伸ばしてみたくなる本ですが、実はこの話の内容は、私がここで扱っている不安などがもとの緘黙症とは関係ありません。

『緘黙―五百頭病院特命ファイル―』は、精神科医の作者による初の小説です。文庫本ですが、書き下ろしです。なにしろ新潮文庫ですから、全国の書店にかなり広く流通しているのではないかと思います。インターネット上でも関連ページが数多く、メジャーなニュースサイト「msn産経ニュース」には書評が出ています。

ですが、「緘黙」には、様々な意味があります。単に押し黙っていることを意味する場合と、医学的な状態を意味する場合の、大きく二つに分かれます。後者も、統合失調症が背景にある緘黙の場合、発達障害が背景にある場合、不安がベースにある場合ほか、様々な場合があります。ですが、場面緘黙症と言うときの「緘黙」は、少なくとも統合失調症を背景とした緘黙とは別のものと考えるのが一般的ではないかと思います。

今回の本で取り上げられた「緘黙」は、説明が難しいのですが(ネタバレになっていまうので……)、統合失調症による緘黙を意識した内容です。『緘黙』というタイトルにひかれて読んでみたくなる本ですが、私がここで取り上げている不安などがもとの、主に子どもで問題になる緘黙とは関係ないストーリーなので、ご留意を。

ところで私は、この本の出版により、検索エンジンで「緘黙」と検索する人が増え、場面緘黙症Journalに間違って訪問する人が増えるのではないかと密かな期待をしていました。本の内容とは無関係とはいえ、本がきっかけでこのサイトにアクセスする人が増え、それが場面緘黙症の認知度向上や私の広告収入の増加につながればうれしい話です。ところが、実際は、訪問者数は全くといっていいほど増えてはいません。なかなかうまい話はないものです。