[緘黙] 大学に入る準備 [ストーリー]

2012年03月01日(木曜日)

このブログでは、私の来し方を振り返り、連載形式で書き続けています。今回からいよいよ大学時代の話に入ります。通算第83話をお送りします。

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■ 親戚へのあいさつ回り

大学への進学が決まった後、親戚にあいさつ回りをした覚えがあります。なにしろ近くの国立大学に合格したもので、「○○大学に合格か!おじさん鼻が高いぞ!」などと言われてしまいました。全国的にはそんなに高いレベルの大学ではないと思うのですが、地方での地元国立大学の評価とはこういうものなのでしょう。

この頃は不況の影響か、地元の国公立大学が人気と言われていた時期でした。私のように、近くの大学に入る学生が多かったことだろうと思います。

■ 「あの子に営業は向かない」

私と親が継続して通っていた歯医者では、親が、わざわざ歯医者さんに私の合格先を話していました。学部が経済学部だったため、就職するとしたら営業職の可能性が高いという話に発展し、「あの子に営業は向かなさそう」という見解で一致を見たといいます。大人しくて無口で、営業というイメージではなさそうということでしょう。

場面緘黙症(自己診断)はある程度よくなってきたとはいえ、まだまだ人並み外れてシャイな私は、こんな自分が社会に出ることができるのだろうか、社会に出られたとしても通用するのだろうか、という大きな不安を抱えていました。

ですが、まずは大学に入るための準備からスタートです。

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■ 自宅から通えて、よかった?

大学に入るための準備はいろいろとありましたが、何をしたかはほとんど忘れてしまいました。ただ、合格先は自宅から通える大学だったので、下宿などにかかわる手間暇はなく、準備は楽だったのではないかと思います。

私は、自宅から大学に通うことができてよかったのやらどうやらと考えていました。私は親元から離れて生活ということに、なにやらとてもつもない恐怖を感じていました。本当に、いいようもない大きな恐怖です。高校時代の同級生には一人暮らしにあこがれる人も少なくなかったのですが、私にはそうしたあこがれもなぜか全くありませんでした。そもそも、自分のような極端な内気な人間に、一人暮らしなどできるような気もしませんでした。

ただ、ここで清水の舞台から飛び降りる覚悟で一人暮らしを始めた方が、かえって自分の成長にもつながるような気もしました。一人暮らしなどできないように思えて、やってみれば案外できたのかもしれません。

結局、どちらが自分にとってよかったのかは分かりません。

■ 服を買う

大学に入るための準備についてはよく覚えていないのですが、服装を整えにあちこち買い物に回ったことは覚えています。すべての買い物に親が同行しました。入学式や将来の就職活動などに使う背広を買うのに親が付き添うのはまだ分かるのですが、普段着を買いそろえるのにまで付き添われたのには、私としては正直なところ戸惑いました。

もともと非社交的な私は、高校時代より学校関係行事以外で外出する機会は少なく、稀に出かける時も制服を着用するのがほとんど常でした。このため、外出用の普段着はあまり持っていませんでした。高校は制服が指定されていたのでそれでもなんとかなったのですが、大学はそうはいきません。

服飾店では、緘黙せず、家でいるときとほぼ同じように話をすることができました。親が一緒にいたからかもしれませんし、周りに知っている人がいなかったからかもしれません。

準備を整えた後、大学の入学式の日を迎えました。

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◇ [緘黙] キャンパスではいつも一人 [ストーリー]