[緘黙] キャンパスではいつも一人 [ストーリー]

2012年04月03日(火曜日)

このブログでは、私の来し方を振り返り、連載形式で書き続けています。今回は大学生編の第2回です。通算第84話をお届けします。

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■ 高校までのような「クラス」がない

「日本では、経済学界は、大きく近代経済学派とマルクス経済学派に分かれています……」

講義が開始し、本格的な大学生活が始まった後でも、私は友人を作らずに一人で過ごしていました。大学に通うのも一人、キャンパス内を移動する時も一人、講義を受ける時も一人、そして昼食をとる時も一人でした。私は高校時代も一人でいることが多かったのですが、大学に入ってそれが極端になりました。

ちょっと驚いたのは、(私が入った?)大学・学部には、小学校~高校までのような「クラス」がなかったことでした。大学は完全な単位制で、与えられた単位取得条件のもと、学生は各自の判断で自分が受ける講義を選択し、各講義ごとの講義室に足を運んでそこで学ぶというかたちをとっていました。

私がこれまで通ってきた一般的な学校では、「クラス」という一つの単位のもと、「クラスメイト」たちと同じ「教室」で原則1年間という定められた期間、ともに授業を受けることになっていました。このため、どうしてもクラスメイトとの人間関係という問題が避けて通ることができませんでした。私の場合、クラスには幸い、私に対して好意的な人が多くて、私が黙ってじっとしているだけでも、親切にしてくれるクラスメイトが多かったです。

ですが、クラスという単位がないこの大学・学部では、こういう強制的に人間関係を築かされる環境はありませんでした。自分から積極的に人間関係を築かない学生は孤立してしまいやすい環境にありました。ですが、私がそのようなことをするはずがありません。あるいは、サークルや部活動の類に入れば友人や知人などを作りやすい環境に身を投じることができたかもしれませんが、そうしたこともしませんでした。どうりで、孤立するわけです。

もっとも、私は友人や知人などいない方がよいと考える変わった性質なので、友人ゼロでもそれを苦にするどころか、むしろ自分の好きなように行動できると喜んでいました。変わった若者です。

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もっとも、たまに私に話しかけてくれる人ならいました。この大学・学部には、私の出身高校からも何人か入学している人がいて、当時のクラスメイトや知り合いが時々声をかけてくれたのでした。

Cさんも、そのお一人でした。このCさんは私と同じ高校の別のクラスにいた女子生徒でしたが、センター試験の時に偶然私の隣の席で受験、以後高校内でよく目が合っていた人でした。そのCさんが、何の偶然か私と同じ大学・学部学科に入学したのです。このCさん、お友達に、私のことが異性として気になるということを、私の目の前でしきりに話しています。恋の予感?

■ 友人がいない⇒自分のことは自分で

友人がいないと、自分一人で情報を収集し、考え、行動し、決断しなければなりません。大学入りたての頃だと、特にどの講義を受講すべきかの判断に、友人がいないことが影響しました。講義についての口コミ情報が入ってこないからです(これは、友人というよりも、先輩がいないことの方が大きそうですが)。また、相談相手もいません。どの講義を受けるかは、完全に自分の情報収集と判断で選択することになりました。

友人がいないと、頼みごともできません。うちの学科の学生は忙しいらしく、中には、講義を欠席して、講義中に配布された資料を友人に1枚多めにとってもらうといったことをする人もいました。ですが、友人のいない私にはそういうことができず、全て自らの責任でしなければなりませんでした(もっとも、講義を休むことはありませんでしたが)。

ですが、このように人を頼りにせず、自分一人の責任で行動するということには、何ともいえない快感のようなものがありました。私もいつまでも子どもではないのですから、自分のことは自分でするという心構えを身につけるには、これはむしろよいことだと受け止めていました。

■ 一人だと勧誘を受けやすい?

この頃、キャンパス内を歩いていると、いろいろなものの勧誘を受けました。サークルの勧誘はもちろん、学生自治会への参加の誘い、さらには、なんだか怪しげなものまで……。新入生だから勧誘は受けるのはよくあることかもしれませんが、それにしても私に限って多いような気がしました。一人であちこち歩き回っていると、勧誘を受けやすいのかなと思ったのですが、確証はありません。

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◇ [緘黙]自己を変える、ことができるか?[ストーリー]