[緘黙] 自己を変える、ことができるか? [ストーリー]

2012年06月12日(火曜日)

2ヵ月ぶりの緘黙ストーリーです!このブログでは、私の来し方を振り返り、連載形式で書き続けています。今回は大学生編の第3回です。通算第85話をお届けします。

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~これまでのあらすじ~

私は大学に入学しました。この頃になると小声であれば少し話をすることができるようになってはいたのですが、相変わらず引っ込み思案は強い状態でした。

大学では友人はできませんでした。しかし、それを苦にするどころか、むしろ自分の好きなように行動できると喜ぶ変わった学生でした。

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大学に入ったのをきっかけに、私は自分を変えなければならないと考えていました。

今のままの引っ込み思案の寡黙な自分では、就職は到底無理と思えたからです。当時は就職氷河期で、しかも、企業の採用意欲は当面回復しそうにはありませんでした。高校時代は大学合格のための勉強を最優先して緘黙?の克服は後回しにしていたので、この時期にやらなければなりませんでした。

なお、私は高校時代の一時期、緘黙?は個性であり、これを変えようとするよりはむしろ生かす道を選ぶべきだと考えていましたが、この頃には、考えはまた変わっていました。

■ メンタルヘルスの本を見るも、「緘黙」の用語に出会えず

まずは今の自分を正確に把握することから始めるとよさそうに思えました。私は、自分が自宅の外にいる時に限って極端な引っ込み思案になり話せなくなるのがどういうわけなのか知らず、これが長年の大きな謎になっていました。何かの障害や病気の類ではないかと考え、メンタルヘルスに関する本に目を通し、自分に合う障害等を探しました。ですが、この頃はまだ「緘黙」の用語に出会うことはできませんでした。

緘黙はマイナーな用語ですから、よく探さなければ見つかりません。ですが、種々の本を探して目を通しているうちに、なにやら今の自分のふがいなさを障害等のせいにしようとしているような気がして、ほどなく探す気が失せてしまったのでした。

もしかすると、私が見た本の中には緘黙のことがしっかり書かれていたのかもしれませんが、緘黙は子どもの問題として扱われることが大抵なため、自分には関係ないとみなして読み飛ばしてしまったのかもしれません。

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■ 『自己を変える』という本に飛びつく

本屋めぐりをしているうちに、『自己を変える』というタイトルの本が見つかりました。それがなにやら今の自分のためにあるような本に思え、衝動買いしてしまいました。

この本は桑名一央氏という方による、よくある自己啓発書の類でした。今思うと、これを読んでも緘黙の克服にはあまり関係ないように思えます。ですが、当時の私にはそんなこと知る由もありませんから、この本に書かれてあることを読んで実践すると緘黙が治るかもと思い、熱心に読んでいました。緘黙を知らなかったばかりに、相変わらず間違った方向に努力していたわけです。

■ コミュニケーションを積極的に図ろう

ですが、もしかしたら正しいかもしれない方向の努力もありました(挫折が多いですが……)。人とコミュニケーションを積極的に図ろうと考え出したのです。

◇ サークル⇒×

そのためには、コミュニケーションをしなければならない環境に自ら身を投じるとよさそうに思いました。そこで、どこかサークルに入ることを検討しました。

ですが、自分がサークルに入ることを考えると、何やら底知れぬ恐怖を感じました。加えて、サークルの勧誘をしている学生を見ていると、私には軽薄で勉強不熱心そうな人が多そうに見えました(いま思うと偏見だったかもしれませんが)。潔癖だった私は、「こんな学生たちと一緒に大学生活を送ると駄目になってしまう」と考えてしまいました。

結局、サークルには入りませんでした。

◇ アルバイト⇒×

アルバイトをしようとも考えました。これは家計を助ける効用もあります。

ですが、自分がアルバイトに応募し、面接を受け、働き出すことを考えると、やはり何やら底知れぬ恐怖を感じました。周りの学生は特にそうした大きな恐怖を感じずに仕事に応募しているように見え、不思議で仕方がありませんでした。高校時代に感じたアルバイト恐怖が、いまだに克服できなかったのです。

それに、アルバイトの求人欄を眺めていると、極端に内気な私に務まりそうな仕事はどれ一つないように思えました。務まるはずのない仕事に応募するのは会社にとって失礼で、避けるべきと私は考えました。

我が家は母子家庭でした。アルバイトをすると家計がどれほど助かるか知れませんでした。また、そもそも学生時代にアルバイトの一つもしないと就職に著しく不利なのではないかとも思えました。このように、アルバイトをしないことによる不利益は相当大きいものと私は考えていたのですが、お話ししたような恐怖や自信のなさの方が勝ってしまって、結局アルバイトもしませんでした。

◇ 私に合った方法を探す

こうした実に情けない次第でしたが、これで終わったわけではありません。私に合ったコミュニケーションを積極的に図るための方法があるのではないかと思い、それを探し、実践することになります。

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