緘黙の児童生徒は何%いる?厚労省と文科省の調査

2012年07月10日(火曜日)

■ 厚労省「全国家庭児童調査」

厚生労働省が5年に1度に行う「全国家庭児童調査」では、かつては「子どもの養育上の問題」がどの程度存在するかが調査の対象になっていました。

特に、平成元年度と平成6年度では、緘黙についても調査対象になっていました。就学状況別に見ると、次のような結果です。

○ 平成元年度(単位:%)

総数未就学小学校1~3年小学校4~6年中学校高校
0.2計数なし0.20.10.20.4

○ 平成6年度(単位:%、有効回答数4,629)
総数未就学小学校1~3年小学校4~6年中学校高校
0.40.20.40.60.30.4

※ 「高校等」は「高校」、「各種学校・専修学校・職業訓練校」の合計。

■ 文科省「学校保健統計調査」

一方、文部科学省が毎年行う、「学校保健統計調査」という調査があります。

緘黙は、吃音や発音、発生の異常などとともに「言語障害」として被患率の調査が行われています。この調査は現在も行われているのですが、ここでは、上と同じ平成元年度と平成6年度の数字をご紹介します。緘黙を含む「言語障害」の被患率です。

○ 平成元年度(単位:%)
幼稚園5歳小学校中学校高校
0.160.080.030.01

○ 平成6年度(単位:%)
幼稚園5歳小学校中学校高校
0.140.070.040.01

※ 健康診断受検者のうち、疾病・異常該当者(疾病・異常に該当する旨健康診断票に記載のあった者)の占める割合を示したもの。

* * * * * * * * * *

厚労省の数字と文科省の数字が、大きくかけ離れています。文科省の数字は緘黙のほかに吃音なども含まれているので、多めに出るはずなのですが、逆に少なめに出ています。

両者は調査方法が違うので、詳しい調査方法を知りたいのですが、ウェブで調べるのが背一杯の私にはこれ以上調べるのは限界がありました。両調査は少なくとも現在では標本調査で、無作為に標本を抽出するなど、偏りが出ないように配慮されています。

調査方法の現在での大きな違いは、厚労省調査は各世帯が調査票に記入する形式であるのに対し、文科省調査の、特に今回取り上げている健康状態調査の場合は、学校保健安全法による健康診断の結果に基づくものであることです。平成元年や平成6年当時もこのような調査方法だったのかどうかは分かりませんが、もしそうだとしたら、このあたりに数字の食い違いのヒントの一つがあるのかもしれません。大雑把な言い方をすれば、家庭視点の方が、医師視点よりも、緘黙と考えられる児童生徒の数が多くなるということかもしれません。

文科省「学校保健統計調査」は現在も行われていますので、この調査を通じて緘黙を含む「言語障害」の児童生徒の数を推測しようとするなら、このあたりは留意した方がよいのかもしれません。

なお、厚労省調査(平成6年度)の場合、有効回答数が4,629件であったことが唯一分かっています。これは、緘黙児が5人増えれば、率が0.1%増加する計算です。ここには注意が必要そうです。

それにしても、実際のところ、緘黙の児童生徒はどれほどの割合でいるのでしょう?

[文献]

◇ 厚生労働省 (2001). 平成11年度全国家庭児童調査結果の概要. http://www.mhlw.go.jp/houdou/0105/h0531-3d.html
◇ 「政府統計の総合窓口(e-Stat)」、統計データを探す-学校保健統計調査(文部科学省)