[緘黙] 高校のクラス会に呼ばれる [ストーリー]

2012年08月01日(水曜日)

このブログでは、私の来し方を振り返り、連載形式で書き続けています。今回は大学生編の第5回です。通算第87話をお届けします。

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大学1年の夏休みに入っても、私は自宅に閉じこもって、一人で勉強ばかりしていました。

そんなある日、富条家に、1本の電話がかかってきました。

「もしもし、富条ですが」

受話器を取った途端、私は急に声の小さな、大人しげな男に変わってしまいます。それでもなんとか声を出せるのは、場面緘黙症?がかなり軽快していたからでしょう(人によっては、もう治っていると見るかもしれません)。

電話の主は名乗りもせずに、開口一番、私に問題を出してきました。

「問題です。ドラえもんは、どら焼きの『皮』と『あん』のどちらが好きでしょう?」

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ふざけた電話です。声の主は、名乗らなくても分かります。中学時代の同級生・いじめっ子A君です。彼は、私が高校や大学に進学してもなお、ちょっかいをかけ続けていたのです。お互い高校以降は別々の学校に進学したにもかかわらず、なんというしつこさでしょう。

今の私なら、こんな馬鹿馬鹿しい電話は、即座に切るでしょう。ところが、この時の私は

「あん」

と正直に答えてしまいました(緘黙?だった頃の私は、なぜかやたらと従順でお人よしでした)。

受話器からは

「ピンポン、ピンポ~ん♪」

という声と、笑い声が聞こえてきました。

※ なぜ「あん」が答えか。アニメ・ドラえもんの旧主題歌(大山のぶ代が演じていた頃のもの)のサビの部分にヒントがあると私は瞬時に考えたのである。

■ 今度は真面目な電話

同じ夏休みの別の日、富条家に、また別の電話がかかってきました。今度は真面目な電話です。高校2~3年の持ちあがりクラスの時の同級生(男子生徒)からの、クラス会の誘いでした。

クラス会とはどういうことをするのだろうかと思い、聞いてみたところ、居酒屋で元同級生たちと会食したり、カラオケに行ったりするとのことでした。当時担任だったD先生はいらっしゃらないとのことです(D先生は、こういうことがお嫌いそうです)。

私はお断りの意思を伝えました。なぜ断ろうとしたかは、はっきり覚えていません。ですが、私のことですから、おそらくこうした賑やかな場に苦手意識を持っていたことと、勉強時間が惜しかったことが理由だったのではないかと思います。

ところが、受話器からは、「は~!?」という不満の声。来るよう迫られ、結局、私はクラス会に参加することになりました。なんでも、私に会いたいという声も、元クラスメイトのごく一部にあったと聞きます。

■ クラス会当日

昼ごろ、繁華街に集合し、そのまま居酒屋チェーン店に直行しました。居酒屋ではみな軽くお酒を飲みながら楽しく談笑していたのですが、緘黙気味の私にはそうしたことができず、一人端っこの方で大人しくしているだけでした。私にはご飯を食べること以外何もできなかったので、ご飯が早く無くならないように、かなりゆっくり食べていたのではないかと思います。

次いで、皆でカラオケ店に向かい、J-POPS を熱唱しました。私は、例によって、端っこの方で大人しく皆の歌を聴くのみでした。

カラオケ店を出た頃には、かなり遅い時間帯になっていました。最後に、大きな公園で皆で花火をしたのですが(いいのかな?)、例によって、私は端っこの方で大人しく眺めているだけでした。

正直なところ、こんな私がクラス会に出てもあまり意味があるようにも思えず、早めに帰ろうかとも思ったのですが、それでは感じが悪いのではなかろうかと思い、皆に合わせて適当な時間に帰りました。

■ 翌年以降は、クラス会に呼ばれず

翌年の夏にもクラス会は開かれたそうですが、私が呼ばれることはありませんでした。実は富条家は今回のクラス会の数ヵ月後、家庭の事情により引っ越しをするのですが、これにより、かつてのクラスメイトと連絡がとれなくなったからかもしれません。ですが、私が通う大学・学部には元クラスメイトもいて、私の連絡先を聞こうと思えばいつでもできたはずなので、別の理由ではないかとも思えます。いずれにせよ、私としては、クラス会には積極的に参加しようという気はなく、これはこれでよいことにしました。

なお、いじめっ子A君のちょっかいも、富条家の引っ越しに伴い、無くなりました。また、同窓会からの便り等も、一切届かなくなりました。良くも悪くも、かつてのクラスメイトとの関係が、転居により絶たれたのでした。ますます私は一人になっていきます。

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