なぜ私は相談に満足に答えられないか

2012年09月25日(火曜日)

「場面緘黙症や全緘黙症のお子さんをお持ちで、対応にお困りの保護者や教師の皆さん。この富条(ハンドルネーム)がご相談に乗ります!どしどしメールをお寄せください!!」

……というようなことを書いた覚えは一度もありません。ですが、初めての方から、「教えてください」「お願いします」等々のご相談のメールをいただくことがあります。

場面緘黙症Journal 掲示板でも、初めて掲示板を利用するという方から、アドバイスを求めるご相談の書き込みを何度もいただいています。

それだけ、緘黙児支援で悩む方が多いということでしょう。見ず知らずの方とはいえ、丁寧な筆致で相談に乗ってほしいというメッセージを寄せられてはなんとか力になりたいと思うのが人情というものです。「私は専門家ではないので、専門的な見地からアドバイスを差し上げることは申し訳ありませんができないのですが……」などと断りながら、立場上遠慮がちに、分かる範囲でお答えしています。ただ、掲示板の場合、私よりも上手に回答できる方がいれば、そうした方にしばしば回答をゆずっています。

ですが、大抵はどうお答えすればよいか分からず、頭を抱えてばかりです。相談例の多くは、行き詰まって打開策が見出しにくい状況にあるもので、そのような難題に、私のような者が容易に回答できるはずもありません。結局、誰でも調べれば分かるような一般論を述べたり、かんもくネットさんの資料など有益な情報源を紹介したりするにとどまっているような気がします。

ですが、どうして満足な回答ができないのか、もう少し深く考えてみることにしました。

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もちろん、私が専門家ではないからという大きな理由があります。ですが、それだけでもないようにも思います。

例えば、最近の本では、緘黙児支援のアプローチの一つとしてよく英米の本などで書かれている行動療法を基にした支援法が紹介されています。ですが、果たして海外で行われている方法をそのまま日本でどこまで行うことができるか私には分かりません(緘黙児に行動療法を試みた例は日本でも1950年代から報告されていて、行動療法そのものは行えないわけではありません)。

ほかに、児童相談所は緘黙を「性格行動相談」として受け付けることになっていて(児童相談所運営指針)、ならば児相への相談をすすめればよいようにも思います。ですが、果たして認知度が低く相談件数も少ない緘黙に対して、児相にどこまで相談の態勢が整っているか私は知りません。

児相に限らず、一般の医療機関についても似たようなところで、緘黙を知らない臨床家がいるという体験談(ネット情報ですが)を聞くと、簡単に受診をすすめることもできません。そもそも、児童精神科医は少ないとも聞きます(臨床心理士が対応することならあるかもしれませんが、このあたりもよく知りません)。

このような専門家にかからなくても、学校なら、重度の緘黙でなければ、関わり方の工夫だけである程度の改善は可能でしょう。臨床発達心理士の高木潤野氏(長野大学社会福祉学部講師)は、次の動画の10:07からそう述べています。⇒「緘黙についてのミニ講義」 その2新しいウィンドウで開く) ですが、私は学校や幼稚園等の現場のことは知らず、どう工夫すればよいかについても具体的なアドバイスのしようがありません。

このように、私は緘黙児を取り巻く環境を知らず、そのことが相談に満足にお答えできない一因になっているのではとも思います。もしよく言われるように、緘黙児支援の環境が日本に十分に整っていないのなら、私がご相談に対して有効なアドバイスができないのもある程度は無理のないことかもしれません(言い訳)。ですが、本当に環境が整っていないのかどうか私にはよく分かりません。そもそも私は本や論文、ブログやツイッターなど人の話を読んで机上で緘黙について理解しているつもりになっているだけで、現場のことには疎いのです……。