洋書・緘黙児のための理想的な教室設定

2013年05月21日(火曜日)

The Ideal Classroom for the Selectively Mute Child: A Guide for Parents, Teachers, and Treatment Professionals場面緘黙症の子の支援で世界で最も有名な人物は、 Elisa Shipon-Blum(エリザ・シポンブラム)氏ではないかと思います 。同氏は、緘黙の研究治療センターを運営するほか、米国では最大手の緘黙支援団体の創設者でもあります。

その Shipon-Blum(エリザ・シポンブラム)氏の著書 Easing School Jitters for the Selectively Mute Child(第3版)を読んだ感想を2月に書いたのですが、今回は、同書とかつて同時発行された本 The Ideal Classroom for the Selectively Mute Child: A Guide for Parents, Teachers, and Treatment Professionals の Kindle版(Amazon による電子書籍版)を読んだ感想を書こうと思います。

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書名 The Ideal Classroom for the Selectively Mute Child: A Guide for Parents, Teachers, and Treatment Professionals を日本語に訳すと、『場面緘黙症児のための理想的な教室設定-親、教師、治療専門家のための手引き』といったところでしょうか。もともと2001年にペーパーバックで発売された本ですが、2003年、2007年に二度改訂され、2012年には Kindle 版が出ました。ページ数は、実は Kindle 版だとよく分からないのですが、実際に読んだところ分量の多い本とは思えません。参考までに、紙の本のページ数は Amazon.co.jpによると67ページだそうです。

本の内容は、学校で緘黙児にどう対応するべきかまとめたものです。英語圏に多い Helping Your Child With Selective Mutism(邦訳『場面緘黙児への支援』)などの、行動療法で体系的にまとめた本とは、また違います。教師など、学校で緘黙児を受け持つ人が読むのには特に適していると思います。

本書の終盤には、全体の3分の1近くを占める分量の FAQ がありますが、これも学校に関する内容がほとんどです。先日取り上げた Easing School Jitters for the Selectively Mute Child の Q&A とは違い、緘黙児支援の理解のために分かりやすく整理された問答です。

この種の本に共通することですが、平易な英文で、分かりやすく書かれています。ところどころイラストが挿入されているのも親しみやすさを感じます。しかも、すぐにでも使えそうな具体的な対策が載っていて役立ちそうです。対象読者は主に米国在住の人だろうと思うのですが、日本人が読んでも十分に得るところがあるでしょう。行動療法メインの本とは守備範囲が多少違うので、併せて読むのもよいと思います。ただ、一冊の本としては分量が少ないかもしれません。

少ないページ数の本ながら(しかもペーパーバック版は文字サイズが大きいとも言われます)、ペーパーバック版で30ドルという価格設定で、米国 Amazon.com では "overpriced"「高すぎる」というレビューが複数寄せられていました。現在ではより安価な Kindle 版が出て、割高感が若干和らぎました。日本でも Kindle 版の方がずっと低価格です。