エリザ・シポンブラム博士の娘さんが本を書く

2013年05月01日(水曜日)

Unspoken Words: A Child's View of Selective Mutism緘黙児支援でおそらく世界でも最も有名な人物は、米国の大手緘黙支援団体創設者であり、緘黙の研究治療センターを運営する Elisa Shipon-Blum(エリザ・シポンブラム)博士ではないかと思います。その博士が緘黙児支援に携わったきっかけは、実は娘さんが緘黙だったことでした。この事実はウェブサイトで以前より公表されていましたし、娘さん自身、緘黙児支援の集まりに参加してきたので、英語圏を中心にある程度知られていたと思います(私も知っていました)。

その娘の Sophia さんがこの度出版デビューされたようで、同博士との共著のようなかたちで本が出ました。私は同書を読んだのですが、その感想を書こうと思います。

書名は Unspoken Words: A Child's View of Selective Mutism。文と絵は Sophia Blum(娘さん)、編集は Elisa Shipon-Blum とされています。2013年発行の自費出版本です。A4サイズに近い大きめの本ですが、本の中身のフォントサイズも大きいです。全71ページで、大人なら短時間で読むことができる分量です。英文も平易です。

本の構成は大きく3つの部分に分けることができます。(1)様々な場面での緘黙児の気持ちを描いた絵本のような部分(Sophia Blum さん作、34ページ)。(2)Sophia さんの子どもの頃の緘黙経験(Sophia Blum さん著、13ページ)。(3)母親から見た幼少期から今日に至るまでの Sophia さん(Elisa Shipon-Blum 博士著、19ページ)。

本書は、緘黙経験者である Sophia さんによる絵本のような部分がメインのようです。経験者作ならではの説得力があり、緘黙の子の気持ちを理解するのに役立ちそうな内容です。緘黙経験者が自身の体験談を本にしたというのはよくあるのですが、こうした創作は珍しいかもしれません。Sophia さんが描かれた絵は、いい意味で子どもが描いたような絵で、子どもが読むには親しみやすそうです(本の表紙も Sophia さんによるようです)。

後半では、Sophia さんの緘黙経験を本人と母親の両方の視点から見ることができ、興味深いです。共著でなければ、なかなかこうはいかないでしょう。緘黙経験者とその母親の共著というと、日本でも石川麻利さんと石川百合子さんの『負けたらあかん!』という本がありますが、今回の本はまた違った内容です。著者親子のバックグラウンドが大きく異なるからでしょう。

Sophia さんは現在大学生で脳科学を専攻、将来は医学部に進む計画だそうですが、これにはやはりご本人の緘黙経験が関係してるのでしょうか。本には Sophia さんの幼少期や現在の写真が多数掲載されていますが、お母さんそっくりの顔をされています。