[続・緘黙] インターネット初体験、成人式 [ストーリー]

2013年06月04日(火曜日)

このブログでは、私の来し方を振り返り、連載形式で書き続けています。今回は大学生編の第12回です。通算第94話をお届けします。

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■ S先生の(プロ)ゼミの特徴

プロゼミを重ねる中で分かってきたのは、S先生の(プロ)ゼミは、同学年のゼミ生の交流はある一方、学年が違うゼミ生の間の交流はほとんどないことでした。また、一部のゼミで行っているような合宿もないそうです。ですが、S先生が学生指導に不熱心ということは全くありませんでした。

無口で引っ込み思案な私は、(プロ)ゼミを通じて、対人交流の経験を積もうとも思っていたのですが、ちょっと思っていたものとは違うところもありました。とはいえ、同学年のゼミ生とは多少の交流を深めていくことになります。それまで、一人で学生生活を送ることも多かった私にとっては、転機でした。

※ プロゼミは、2年生を対象としたゼミの入門版です。私の学部ではこう呼んでいました。

■ インターネット初体験

どういう経緯だったかは思い出せないのですが、2年のプロゼミ生が学部の端末室に集まって、例の大阪弁の男子学生(同じプロゼミ生)からインターネットのウェブサイトの見方を教わったことがあります。彼は、検索エンジンでゼミの先生のお名前を検索するなど実演していました。

私はこのとき、インターネットにようやく関心を持つようになりました。後日、独自に端末室に入り、ブラウザを開いてネットサーフィン(死語か)を試してみました。これが、私のインターネット初体験でした。ですが、このときはまだ自分もパソコンを持って自宅でインターネットをしようとか、自分でウェブサイトを作って何らかの情報を発信しようとか、そうしたことは全く考えませんでした。

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■ 成人式に行かず(行けず)

大学2年の1月、私の年度の若者を対象とした成人式が地元自治体で催されたのですが、私はこれには出席しませんでした。

いや、出席できなかったといったところでしょうか。以前にもお話した通り、比較的最近、富条家は都合により実家ごと引っ越してしまったため、自分の出身学区の成人式に出ることができなくなってしまったのでした。今住んでいる学区の成人式に出ることならばできたのですが、つい最近引っ越してきたばかりの、同年代の知り合いが誰もいないこの地の成人式に出るのは、孤独に慣れた私も気が引けます。

出身学区の成人式に参加できないことについて、私は複雑な思いでした。私の出身学区の成人式では、式とともに同窓会が開かれることが、地元の新聞で毎年報じられていました。昔の同級生に会いたくないという思いと、会いたいという思いが相半ばしていたのです。

私は中学時代にいじめに遭い、「卒業までの我慢」と自分に言い聞かせながら学校に通った過去があります。そうして忍従の日々を重ねてようやく昔のいじめっ子と縁を切れたことを思うと、ここでわざわざ成人式や同窓会に出席するのは馬鹿げたこととしか思えません。みすみすいじめられに行くようなものです。

その一方、そんな私によくしてくれたクラスメイトがいたことも私は忘れていませんでした。当時は緘黙?が今よりひどくて、お礼の一つさえ言うことができず、卒業後に後悔を残していました。そんなクラスメイトたちにお礼の言葉を伝えたいという思いも強く持っていました。特に私は、自分がこの先まともな人生を歩めるとは当時から思うことができず、このため、今回は、まだ社会の輪の中に踏みとどまっているうちに昔のクラスメイトにお礼を言う最後のチャンスだろうと見込んでいました。

いずれにせよ、出られないものはどうしようもありません。私は成人式当日、みな華やかに過ごすのだろうと思うと妙な気分になり、朝からずっと布団をかぶっていました。

それにしても、中学時代にほとんど何も話せなかった私が、少し自発的に声を出せるようになった大学時代に中学時代の同級生と出会ったら、どうなっただろうかと思います。中学時代のように緘黙?してしまうのか、多少は話ができるのか。興味深いところです。

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◇ [続・緘黙] ゼミで発表 [ストーリー]