全国各地の緘黙グループ

2013年10月19日(土曜日)

アイキャッチ画像。中学生。

全国各地で立ち上がる緘黙のグループ


松江で場面緘黙の会が立ち上がったそうです(松江、2013年10月3日)。地域の緘黙グループというと、ここ1~2年ほどの間に、私が確認した限りで上田(長野)、関東、関西、宮古島、沖縄(宮古島のものとは別)、富山で次々に立ち上がっています。その実際は保護者中心のグループ、当事者中心のグループ、支援者中心のグループと様々ですが、いずれにせよ、このように全国各地で地域に密着した緘黙のグループが立ち上がるのが最近の新たな流れのようです。

これまでにも、「かんもくの会」や「かんもくネット」といった支援団体がありましたが、特定の地域を中心として活動するものではありませんでした。上記の新しいグループは、こうした既存の全国規模の団体と何らかの関わりを持っている場合があり、その関わり方も様々のようです。

全国規模の緘黙支援団体との今後の関係は


こうした流れと関係があるのかどうかは分からないのですが、今年9月に日本特殊教育学会で行われた「緘黙症シンポジウム」の中で、関西国際大学のある先生が、「この『かんもくの会』の活動を全国組織にして、もっと多くの人たちにも知ってもらいたい」と語ったといいます(池上、2013年9月5日)。

今後も地域密着のグループが増えていくのでしょうか。そうだとしたら、それらのグループは「かんもくの会」や「かんもくネット」といった既存の団体とどのように関わっていくのでしょうか。一方、「かんもくの会」や「かんもくネット」は全国展開をどう考えているのでしょうか。もっとも、これは各々のグループや団体の方の問題で、私なぞがブログで取り上げるのもおかしな話なのですが、気になるところではあります。

米国の緘黙支援ネットワーク


実は、米国や独国では、以前から民間の緘黙支援の全国ネットワークがあったり、各地のグループが全国的な組織と連携したりしていました(英国にも SMIRA という有力な団体がありますが、このあたりの事情については知りません)。先行事例があるわけです。このうち、私が比較的分かる米国についてここで見てみます。
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米国最大の緘黙支援団体 Selective Mutism Group(SMG)は、米国内外どこにいても SMG のサポートが受けられる SM Connections Program というプログラムを整備しています。

具体的には、各州と海外の一部の国に State Coordinator と呼ばれるコーディネーター(まとめ役)を配置し、同団体のウェブサイト上で各コーディネーターの名前とメールアドレスを公開しています。また、コーディネーターの中には、各地で緘黙のグループを運営する人もいて、その内容や連絡先もウェブサイト上で明記しています。こうしたグループがイベントを行うと、SMG ウェブサイトでも広報されます。

↓ SMG ウェブサイトへのリンクです。
SM Connections
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↓ ノースカロライナ州シャーロット市のコーディネーターが立ち上げた支援グループのHP。
Selective Mutism Support Group
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米国は国土が広いので、こうしたコーディネーターや地域に密着したグループの存在は意義が大きそうです。

ですが、米国には SMG とは別の緘黙支援団体やネットワークもあり、緘黙に関するグループの全てが SMG に参加しているわけではありません。また、SMG のステートコーディネーターに参加している方が、Selective Mutism Network という別の緘黙支援団体のステートコーディネーターにも同時に参加していたり、わりと自主的に活動しているグループがあったりと、組織展開にはやや緩やかな部分があるようです。

結び


松江の会のような地域密着のグループは今後も増えるかもしれません。そうしたグループの数々が「かんもくの会」や「かんもくネット」の全国組織のようなかたちをとるのか、それとも緩やかな連帯のようなかたちをとるのか、各々が自主的に運営していくのか、はたまた、地域のグループとは無関係に「かんもくの会」「かんもくネット」の地方組織が独自に整備されるのか、気になります。

緘黙児・者に対する民間の支援体制は、今後全国にどのように広がっていくのでしょうか。

[文献]

◇ 「松江で場面緘黙の会立ち上げ」(2013年10月3日)『山陰中央新報』http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=541624004 最終アクセス2013年10月19日。

◇ 池上正樹「『引きこもりするオトナたち』 大人になっても友人なし、家族とも全く話せないわが子の緘黙(かんもく)症に悩む親の苦しみ」(2013年9月5日)『ダイヤモンドオンライン』http://diamond.jp/articles/-/41223 最終アクセス2013年10月19日。