『ひいきにかんぱい!』という児童書に緘黙児

2013年12月01日(日曜日)

アイキャッチ画像。
場面緘黙症の小学生が主要人物として登場する新しい児童書を読みました。

ひいきに かんぱい!』という本です。宮川ひろ作、小泉るみ子絵で、童心社より2013年10月25日初版発行されました。

主な内容


学校で給食を食べられず、声も出せない小学3年生のさなえさんに、クラスメイトの一也君たちが「ひいき」係を作り、さなえさんが給食を食べられるよう応援するという内容です。作者の教員としての経験をもとにしたものです。

「場面緘黙症」の用語は本の中には出ないのですが、出版社ウェブサイトには見えます。

感想


ひいきに かんぱい! (かんぱい!シリーズ)小学生のクラスメイトから見た緘黙の子の話として新鮮でした。私は緘黙に関する個人ブログをよく読んでいるせいか、当事者でも保護者でもない第三者の視点は新鮮に感じられます。

作者の実体験をもとにした話ですが、作者も言うように、子どもの力は大きそうです。中には、緘黙の子をいじめたり、無理解から緘黙の子に不適当な言動をしたりする子も少なくはないようなのですが、子どもの力はそうした悪い方向にばかり働くとは限らないでしょう。私自身、学校で声が出なかった頃、クラスメイトからいじめを受けた経験もあれば、別のクラスメイトからずいぶんと助けられた経験もあります。私などは、緘黙の子を教師、保護者、専門家といった周囲の大人たちがどう支援するべきかということをよく考えるのですが、周囲の子どもの力も大きいものだと考えさせられました。

本書は緘黙児支援を主目的として書かれた本ではなく、作者が最も伝えたいことは、正しい緘黙児支援の方法というよりはむしろ、別のことだろうと思います。ですが、ひいき係りがさなえさんにとった行動は行動療法に通じるもので、理にかなうものでした。私などは、緘黙児支援先進国である英国でよく行われている sliding-in という技法を連想しました。作者が教員だった頃、子どもたちが本当にこういう行動をとったのか、それともこの部分は作者の創作なのかは分かりませんが、興味深かったです。

ただ、緘黙の子は注目されるのを強く嫌う傾向があるので、この本の読者がそのあたりのところを誤解しなければと思います。

この本の感想は、既に、本書と同様に緘黙の小学生が登場した児童書『いっしょに遊ぼ、バーモス ブリンカル!』の作者である山本悦子氏(児童文学作家)もブログで書いています。

↓ 山本氏のブログへのリンクです。
ひいきにかんぱい
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[追記]

先月中にいただいたブログ拍手の数は、過去最多の121件でした。たくさんの拍手、ありがとうございました。