子どもの精神疾患「障害」の多く→「症」の詳細

2014年05月29日(木曜日)

アイキャッチ画像。
場面緘黙症啓発月間に関連した記事を書こうと思っていたところ、ちょっとしたニュースがとびこんできました。啓発月間の記事は後回しにして、まずはこちらを取り上げることにします。

昨年、日本でも広く用いられている米国精神医学会による精神疾患の診断基準が大幅改訂されました(DSM-5;これにより緘黙は不安障害のカテゴリに含まれることになりました)。ですが、この診断基準は英語で書かれているため、これを日本向けにどう和訳するかが課題でした。今回は、この和訳に関する話題です。

新診断基準の和訳で、子どもの精神疾患の「障害」という訳語の多くが「症」に変更される云々といった記事が、5月28~29日に主要紙に次々と掲載されました。(電子版で確認)。例えば、「学習障害」は「学習症」になるそうです。

↓ 例。Yahoo! ニュースに掲載された、産経新聞の記事です。

「障害」を「症」に 精神疾患の新名称公表
新しいウィンドウで開く

* * * * * * * * * *

これらの記事を読んだ人は多いようなのですが、記事の一次資料である、 日本精神神経学会のガイドラインを直接読んだ人は少なさそうです。新聞記事はこのガイドラインのダイジェストであり、ガイドラインには、より詳しい情報が載っています。そこで、当該資料へのリンクをご紹介します。

DSM-5 用語翻訳ガイドライン
新しいウィンドウで開く

このガイドラインには、"selective mutism" の訳語が「選択性緘黙」となることも記されています(これまでも「選択性緘黙」でした)。また、先程「不安障害」と書きましたが、これも「不安症」という新名称が提案されています。

ただ、 私は専門家ではなく、よく分からないのですが、今回のガイドラインで名称変更が確定とは必ずしも言えないのかもしれないと私は思います。 今回のものはガイドラインの「初版」です。第2版以降が出る可能性があります。また、ガイドラインにも、「(日本精神神経学会精神科病名検討)連絡会では、今後もさらに会員の意見を参考にしながら、DSM-5の病名・用語に関して検討を加えていく予定である」という記述があり、ガイドラインの内容が変更される可能性が示唆されています。

なお、緘黙に関する情報に接していると、よく「情緒障害」という用語を見かけますが、これは「情緒症」と変わることはなく、これまで通り「情緒障害」です。ここで言う「情緒障害」は日本の行政用語で、米国発の DSM-5 には出てこない用語ですので。

[関連記事]

↓ 産経新聞の記事は誤解を招くとしています。やはり自分にとって重要な新聞記事は、できるだけ一次資料に当たりたいものです。「lesser の日記」さんへのリンク。

差別を生むから「障害」を「症」に、ではない
新しいウィンドウで開く