『児童心理』7月号に緘黙記事2つ。「かんもくの会」のあの方も。

2014年06月14日(土曜日)

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児童心理』という雑誌の2014年7月号(2014年6月12日発売)に、緘黙を主題とした記事が2つも掲載されました。しかもそのうち一つは、かんもくの会の代表が共著者として名を連ねています。

この雑誌は何十年も前から、緘黙を何度も取り上げてきました。発行部数が多いのか、少し大きめの書店に行くと、店頭で販売されていることがあります(私も店頭で買いました)。

さて、今回掲載された記事は、次の二つです。読んだ感想を書きたいと思います。

◇ 丹明彦「心を閉ざす子どもとのプレイセラピー ー選択性緘黙児の事例を通じてー」(67-71ページ)

◇ 藤田継道、浜田貴照「保育園・幼稚園・学校で話せない場面緘黙児の理解と支援」(106-112ページ)

丹氏の記事


丹氏は目白大学の準教授ですが、外来の相談室で「これまでかなりの数の緘黙児を担当し、最近では、ほぼすべての事例で初回に子どもが話す言葉を聴いている。はじめから話すはずがないと思っていた母親が驚いて涙を見せるという場面を何度も垣間見てきた」という優れたセラピストでもあります。

丹氏の論考は、丹氏が行うプレイセラピーの具体的な過程がまとめられていて、臨床家向きの内容と思われます。この論考は最後まで読まないと、丹氏の主張を誤解する可能性があります(私は前半まで読んだ後、色々あっていったん席を外したのですが、これで誤解しそうになりました)。

ただ、この丹氏の前半の話で、緘黙児支援の必要性という、あまりに根本的ゆえ時として忘れがちな問題について考えさせられました。なぜ大人は緘黙児の発話を支援する必要があるのでしょうか?話さない子どもがいてはいけないのでしょうか?

藤田、浜田氏の記事


児童心理 2014年 07月号 [雑誌]藤田継道氏と浜田貴照氏は、お名前を聞いたことがあるという方は結構いらっしゃるのではないかと思います。藤田氏(関西国際大学教授)は、緘黙症シンポジウムで何年にもわたって企画、司会などをされています。浜田氏はかんもくの会代表で、本論考でも「かんもくの会代表」の肩書きです。

かんもくの会といえば、この『児童心理』2014年7月号発売と同じ日に、同会とも関連するダイヤモンドオンラインの緘黙記事が掲載されました。もともと『児童心理』は毎月12日発売ですし、ダイヤモンドオンラインのあの特集は毎週木曜日更新で、たまたまその日が重なったのでしょうが、もしかんもくの会がこれを知ったうえで予め同じ日に掲載を狙ったのであれば、これは相当な高等戦術です。同じ日に、全く違った媒体で緘黙を主題とした記事が複数掲載というのは、インパクトがあります。

藤田氏らの論考は、保護者と教員を対象としたものです。2つの記事に棲み分けができていて感心しますが、丹氏の記事は「選択性緘黙」、藤田氏らの記事は「場面緘黙」と異なった用語で、この点、特に誌上で断りはなされていません。

それにしても、かんもくの会関係の記事で「場面緘黙」という用語が採用されるのは珍しいです。「場面緘黙」の用語はかんもくネットの方で、かんもくの会は「緘黙症」という用語で統一されている場合がほとんどです。

藤田氏らの論考は、「場面緘黙予防マニュアル」や「場面緘黙の早期支援プログラム」といった一般的な方法の紹介が中心です。先程の丹氏は、「選択性緘黙といっても、子どもの状態は多用であるため、対応は常にオーダーメイド」と相反すると思われることを述べているのですが、両者は対応への基本的な考え方が違うのでしょうか。

このうち「予防」というのは、緘黙児支援ではあまり耳馴染みがないようにも思われますが、実は、『マンガでわかる場面緘黙』『場面緘黙Q&A』などで「新学年の準備」「備え」などと表現されていたものにほぼ相当します。

それにしても、「場面緘黙の予防」と「場面緘黙の早期支援プログラム」は端的によくまとめられていて、大変感心します。かんもくネット資料のようにウェブで無料一般公開してほしいと思うほどです。とはいえ、もしそれが実現すると、競合サイトであるうちのアクセス数がますます減ってしまうような気もするので、あまり大声で言うのはやめておきます。