費用対効果の高い方法がいい

2014年07月16日(水曜日)

アイキャッチ画像。素材サイト「モデルピース」より藤浦真菜さん。

緘黙治療のため、クラウドファンディングで30万円募集


インターネットで不特定多数の人々から小口資金を集めるクラウドファンディングは、新たな資金調達の方法として注目を集めています。

このクラウドファンディングで、場面緘黙症の子どもの治療費を集める試みを6月から行っている親御さんが米国にいらっしゃいます。目標は3,000ドル(約30万円)で、7月16日夜現在で3,220ドル(約32万円)が既に集まっています。これはなかなか興味深いです。

↓ クラウドファンディング専門サイト GoFundMe へのリンクです。
○ Selective Mutism Treatment For Jack
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緘黙の治療に数十万円!?


ですが、緘黙の治療に数十万円とはびっくりです。米国と日本とでは事情が違うのかもしれませんが、それにしても緘黙の克服には本当にそんなにお金が要るのでしょうか。失礼ながら、親の気持ちにつけこんだ「ぼったくり」にでも遭っているのではないでしょうか。だいたい、この数十万円という数字はどこから出てきたのでしょうか。

上記サイトによると、この緘黙児の親御さんは、地元バージニア州の大学の専門家に息子さんを診てもらっていたのですがよくならず、他に地元で支援をしてくれるところも見つからなかったのだそうです。そうしたところ、ミシガン州の Confident Kids Camp という緘黙支援プログラムを知ったのですが、これが親御さんが加入している保険の適用外で、1週間のプログラム(計30時間)を受けるだけでも2,400ドル(約24万円)かかるというのです。

この Confident Kids Camp というのは、以前「緘黙児への短期集中型行動療法」でお話した Brave Buddies というプログラムとほぼ同じものです。Child Mind Institute という子どもの精神疾患では有力な民間機関の Steven Kurtz 博士が開発した行動療法プログラムで、決して怪しげなぼったくりではありません。ですが、1対1でカウンセラーがつくといった丁寧な支援を1週間にわたって行い、しかも保険が効かないとなると、やはりそれなりにお金がかかるのかもしれません。

○ Confident Kids Camp
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海外には緘黙の研究や支援が進んでいる国があって、高度な緘黙支援を行う民間機関があったりするのですが、そうした民間機関の支援を受けようとするとそれなりにお金がかかることもあるらしいです。

ちょうど今週の19日(土)にも、SMart Center(場面緘黙症不安研究治療センター)という米国では有名な緘黙の民間機関が、緘黙児とその家族のためのキャンプなどのイベントを開きます。S-CAT という独自の行動療法を受けられたり、ワークショップで勉強できたりと充実したプログラムですが、その参加料金はというと、6時間参加のレギュラーコースでは、11歳以上の参加者は85ドル(約8,500円)、3-10歳の場合65ドル(約6,500円)などとなっています。どうやら家族もこの料金のようです。ですので、例えば母親と10歳の緘黙児が1人の参加の場合、料金は85ドル+65ドル=170ドル(約1万7,000円)です。これを高いと見るか安いと見るか?

○ SM Family Fun Day
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費用対効果が高い方法は


場面緘黙症に関する国内の情報によく目を通していますが、緘黙の治療や支援にいくらかかるとか、保険が効く効かないといった、お金の話をあまり目にしたことはありません。学校や教育センター、児童相談所、ことばの教室といったところで支援を受ける範囲であれば、特別な費用はかからないのかもしれません。民間の医療機関にかかると何らかの費用がかかるはずですが、医療機関にまで診てもらう人は少ないのかもしれません。

ただ、やはり医療機関にかかる人もいるわけで、その場合、どうなのでしょうか。また、公的機関で何らかのセラピーを受けて、お金がかからなかったという場合でも、実は納税者がその費用を負担しているのです。

虫がよいことをいえば、できるだけお金がかからず、しかも効果のある治療、支援が行われるとよいです。つまり費用対効果が高い方法です。緘黙支援に携わる人もこのあたり既に意識しているかもしれませんが(学術文献ではあまり見た覚えががないような……)、できるだけ追求されてほしいです。

なお、先の30時間2,400ドル(約24万円)のプログラムですが、公式サイトは、これは伝統的なセラピーの半額であり、費用対効果が高いとアピールしています。

※ 今日のアイキャッチ画像も藤浦真菜さんです。このブログでは4度目。