大人の緘黙症、国内の研究を見る(4)

2014年08月03日(日曜日)

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大人の緘黙症について考えるために、まずは先行研究を見ていこうということで、これまで「大人の緘黙症、国内の研究を見る」と題して3回にわたってお送りしてきました。

私が見つけることができた大人の緘黙研究は全て紹介したので、次回はまとめや展望を書こうと前回予告したのですが、実はまだ紹介し忘れたものがあったことに気付きました。うっかりしてます。今回は、その紹介し忘れたものを取り上げたいと思います。

夏苅郁子、岡田茜、杉浦真澄(2008)「思春期以降まで遷延した、難治性の選択性緘黙8例について」『日本児童青年精神医学会総会抄録集』49、212。


8例の初診時平均年齢は14歳(10歳~23歳)ということで、大人の緘黙症を含んでいますが、なにしろ抄録なので詳細が分かりません。

ただ、発症年齢は遅い例でも小学6年時とのことなので、大人になって初めて緘黙になった例がないことは分かります。

冨賀見紀子、金原洋治(2012)「選択性緘黙をもつ大学生事例の検討」『子どもの心とからだ』21(2)、286。


大学生の事例が2つも報告されています。発症年齢や受診時の年齢は不明。ともにそれまで未受診・未診断で支援を受けたこともなかったのですが、心理面接と、教員へのコンサルテーションを行ったところ、2事例とも緘黙状態が改善したとあります。

緘黙というと、よく早期発見・早期介入が重要とされますが、この話を聞いて「私は/うちの子は早期発見の機会を失ってしまったので、もうだめだ」というような思い込みを持ってしまう人もいるようです。ですが、遅すぎることもなく、たとえ大学生のような年齢の緘黙者であっても支援により改善が可能なのかもしれません。

↓ かんもくの会の代表も、ブログの中で「高年齢の子どもでも支援は可能」と述べています。
※ 特殊教育学会における緘黙症シンポジウムで強調されたもう一つのメッセージへの注釈
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伊丹昌一(2012)「場面緘黙のある学生への支援」大阪市立大学『大学教育』10(1)、47-51。


学術発表ではなく、ワークショップでの講演内容を掲載したもののようです。

19歳の大学1年生の事例があります。緘黙の診断が下りたのですが、こだわりが強い学生のようです。発症年齢は書かれてありませんが、小~高校の頃には話ができなかったようです。

これについては、ネットで公開されています。特に、49-51ページをご覧ください。PDFファイル(212KB)。なお、PDFを閲覧するには Acrobat Readerが必要です。Acrobat Readerはこちら (新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

「場面緘黙のある学生への支援」
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以上です。次回こそ、私なりのまとめを行い、これまでの研究からどういったことが分かるのか、今後の展望は等々について考えたいと思います。(続く)