緘黙少女が主人公のフィクション『声は届かない』

2014年09月13日(土曜日)

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場面緘黙症の中学1年生を主人公としたフィクション小説『声は届かない』が、今月9月15日に文芸社から発行されました。作中で「場面緘黙症」という言葉が、ふりがな付きで何度も出てきます。私はこの本を Amazon.co.jp で予約注文したところ、11日に発送され、12日に手にして読みました(15日発行なのに、どういうこと?)。本の簡単な紹介や感想を書いてみます。

※ この本を既に読んだ人は、現時点では私以外にそうはいないと思うので、詳しい感想や紹介を書いてしまうと未読の方に申し訳ないような気がします。そこで、そのあたりは控えめにしておきます。

作者は、夏川結伊(なつかわゆい)さんという方です。プロフィール欄には詳しい説明がありませんが、「あとがき」には不登校を経験したとあります。似たお名前の夏川由衣(なつかわゆい)さんという、文芸社から詩集を出した緘黙を経験された方がいらっしゃるのですが、関連は分かりません。

B6 サイズのやや小さめの本です。加えて、高橋久美さん(高は"はしご高")のカバーデザインもあって、かわいらしい装丁です。

声は届かない主人公・木乃瀬なつは、支援教室に在籍する中学1年生。ストーリーは、緘黙を原因とするいじめや不登校、自傷行為など、複雑な内容が中心です。ですが、緘黙の当事者が直面する厳しい現実の一面をよく描いていると思います。夏川さんは、あとがきの中で緘黙への理解を訴えているのですが(あとがきの半分が緘黙に関する内容で、作者の思い入れの強さを感じます。作者も緘黙を経験されたのでしょうか?)、こうした辛い目に遭っている緘黙の子たちには心配りがなされて欲しいと私も思います。

主人公には困難が続きますが、最後に自分の居場所を見出します。苦しんでいる子どもたちには救いになりそうな内容です。緘黙の(元)当事者はもちろん、いじめを受けて苦しんでいる中学生や、不登校の子どもたちの手にも届くことを願います。

※ 場面緘黙症Journal を通じて本を買ってくださる方、ありがとうございます!