「選択性緘黙」を「場面緘黙」に変えようという論文

2014年10月21日(火曜日)

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場面緘黙症は、特に医学の世界では「選択性緘黙」が正式名称です。これは、米国精神医学会によるマニュアル DSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に掲載されている "selective mutism" という名称を訳したものです。

この訳語を「場面緘黙」に変更することが妥当とするレター論文 [注1] が、日本不安症学会の学会誌『不安症研究』に掲載されました。また、来年発表が予定されている WHO(世界保健機関)の ICD-11(国際疾病分類第11版)での訳語も、「場面緘黙」を採用するよう論文では述べられています。[注2]

◇ 久田信行、藤田継道、高木潤野、奥田健次、角田圭子「Selective mutism の訳語は『選択性緘黙』か『場面緘黙』か?」『不安症研究』6(1)、4-6。

※ この論文の本文は、以下のJ-STAGE へのリンクから読めるようになりました(2014年11月1日追記)。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adr/6/1/6_4/_article/-char/ja/ (新しいウィンドウで開く

名称変更がどのような過程で決まるのかは私は知りません(不安症学会が決めると聞いています)。ですが、論文が不安症学会の学会誌に掲載されたこと、論文が5人の連名であること、さらに、緘黙の保護者や(元)当事者を会員に多く含む国内最大の緘黙支援団体の代表も著者として名を連ねていることはインパクトを感じます。

変更を提案するのは「選択性」の部分で、「緘黙」はそのままなのですね。「緘黙」という名称は難しいから、もっと分かりやすい言葉にした方が認知も広がるのではという声を聞くことも、多数派の意見かどうかは分かりませんが、昔からあることはありました。

緘黙の名称がどうなるのか、今後の推移を見守りたいです。なお、この論文について教えてくださった方へ、この場をお借りして改めて感謝を申し上げます。

[注1] 『不安症研究』の編集規定によると、「レター論文は、日常の臨床・研究活動上に得られた発見、反省点、誤診しやすい盲点など、また本誌に掲載された論文に対する各種の意見(追加、討議、希望など)を書簡の形式で書いたものとする」とあります。

[注2(2014年10月29日追記)] 論文の主張はこの通りですが、実際は、ICD改訂(ICD-11)は2017年に延期されています。


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