緘黙の(元)当事者、保護者

2014年12月03日(水曜日)

アイキャッチ画像。写真素材サイト PAKUTASO より。モデルの男性は大川竜弥さん。
場面緘黙症には当事者だけでなく、その保護者もまた大きな関心を持っています。緘黙は小児期や思春期に問題化することが多いからです。

また、「元」当事者も緘黙に関心を持ち続ける場合があります。緘黙を克服できたとしても、いわゆるその後遺症で後の人生にまで影響が及ぶことがあるからです。

緘黙の(元)当事者や保護者はいったいどういう人たちなのでしょうか。今更分かりきったことかもしれませんが、敢えてまとめてみました。

(元)当事者


緘黙の当事者として最も注目を集めるのは幼稚園児~小学生ぐらいの年齢の子です。中学生以上の緘黙者もいますが、この年齢層の当事者の支援に関する情報については不足している感が否めません。

インターネット上で緘黙について語る(元)当事者は、だいたい若くても中学生以上です。昔から大人の緘黙や、緘黙経験者のひきこもりが話題になりやすいのはネット上ですが、これはネットユーザーの年齢層が関係しているのかもしれません。これに対して、しばしば関心の対象となる幼稚園児~小学生ぐらいの年齢の子の声をネット上で見かけることは稀です。

近年、緘黙を主題とした本が出版されていますが、(元)当事者向けの内容は少ないです。また、緘黙を自ら克服したいという思いを持つ当事者は多いですが、そのための情報は少ないです。

当事者間のオフラインでの交流が昔から一部で行なわれてきました。ですが、最近全国各地に立ち上がっている親の会のように、きっちりした当事者会を作って交流してきたわけではあまりないようです。もう少し緩やかな集まりのイメージです。

(元)当事者から生まれたものは、緘黙サイトの草分け「ココロのひろば」、ウェブリング「緘黙の輪」、「日本全国緘黙症・元緘黙症探し」、緘黙サイトとして初めて Yahoo!Japan に登録された「場面緘黙症専用」、緘黙支援団体第1号「かんもくの会」などがあります。今年話題となった「かんもくの声」も、そうです。

保護者


緘黙児の支援には、専門家、教師、保護者が協力して行なうことが効果的とされるように、保護者は緘黙児を支援する立場ですが、同時に、支援される立場でもあります。

我が子の緘黙への対策を立てているのは、父親よりも、やはり母親が多そうです。ネット上で緘黙について語る保護者も、見かけるのは昔から母親が圧倒的多数です。緘黙の当事者は男女ともにいますが(女性が多いですが)、緘黙児の保護者というと、このように目にするのは大抵女性です。

平均年齢は(元)当事者よりも高いものと思われます。「パソコン苦手」「ブログなんて私にできるだろうか」等々の話を聞くことが昔からたまにあります。

最近、全国各地で親の会が立ち上がっています。私は2006年6月に「場面緘黙児の親の会、自助グループはありません!」と題する記事を書きましたが、隔世の感があります。ただ、親の会にも色々あって、「親の会はいいもの」と無条件に考えるのには慎重であった方がよいかもしれません。

大手緘黙支援団体の会員も、当事者より保護者が多いです。会員数が最も多いかんもくネットは2013年3月31日現在で、およそ4分の3が保護者・家族です。当事者が始めたかんもくの会でさえも、2013年5月末現在で、保護者等の家族会員が約130名、当事者会員が約110名という内訳です。

自分自身も子どもの頃、緘黙だったという保護者もいます。

全ての親がそうではないでしょうが、緘黙に対する認識不足や無理解な親の存在が指摘されることがあります。こうした親は緘黙のブログを書いたり、親の会に出たりすることはそうないでしょうから、表に出にくそうです。理解ある親とそうでない親の、どちらが多いかは不明です。もっとも、最初から緘黙を知る人なんてそういません。啓発はそのためにも必要だと思います。

緘黙サイトの黎明期から、(元)当事者ホームページと同様、保護者の緘黙ホームページが存在しました。ただ、どちらかと言えば、当事者ホームページの方が緘黙の情報発信や交流をリードしている感がありました。ですが、2007年、事務局メンバーに保護者を多く含む「かんもくネット」が生まれてからは、少し流れが変わったかもしれません。

(元)当事者と保護者の関係は


両者は立場が違います。少なくともネット上を見る限り、(元)当事者のコミュニティと保護者のコミュニティがはっきり別れている場合もありますが、(元)当事者のブログに保護者がコメントしたり、あるいはその逆があったりと、両者は必ずしも別々に交流しているわけでもありません。緘黙の認知度向上など共通する関心事もあります。両者の間でトラブルが起きたという話は特に聞いたことがなく、仲良くやっているようです。

なお、私は元当事者寄りの立場です。私は人生経験を重ねた多くの保護者から見れば若輩者だろうということで保護者とやり取りをする時はかしこまることが多かったのですが、私も齢を重ねてきて、そうしたところが少しずつ変わってきたかもしれません。

※ 今回のアイキャッチ画像は、衆議院選挙の本物の立候補者ではなく、大川竜弥さんというモデルです。