「日本の行動療法の父」は、緘黙研究で博士号を取得

2014年12月08日(月曜日)

アイキャッチ画像。写真素材サイト PAKUTASO より。
筑波大学の内山喜久雄名誉教授が2年前に亡くなっていたことを、恥ずかしながら今になって知りました。

内山教授は「日本の行動療法の父」ともされる学界の重鎮でした。日本認知・行動療法学会には「内山記念賞」という賞があるほどです。

内山教授は、実は1959年(昭和34年)に『北関東医学』に掲載された「小児緘黙症に関する研究」で、医学博士号を取得されています。この研究は、「第1報 発現要因について」「第2報 治療方法について」の2部に分かれていて、合わせて28ページに及ぶ内容でした。

第1報は、M市内(前橋市か)小学校の児童24,245名の全数調査から46名の緘黙児を抽出し、面接法、質問紙法、精神医学的診断による統計的研究を行なったものです。第2報は、22名の緘黙児について、脱感作と集団支持療法による緘黙の治療を試みたものです。

第1報、第2報、いずれも日本における最初期の緘黙研究であり、また、現代の緘黙研究でもなかなかない規模の大きなものでした。 後にかなり引用されています。 このうち第2報は、私が確認した限りでは、行動療法を導入した緘黙児支援の報告としては日本初のものです。

今日、『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』や『場面緘黙児への支援』など、行動療法による緘黙児支援法を示した本がわが国でも出版されるようになりました。内山教授が今の状況をお知りになれば、どう思われるだろうかと思います。

追悼には遅すぎますが、緘黙研究に貢献された方ですので、ここで取り上げたいと思います。

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