海外:緘黙のためのクラウドファンディング(後編)

2015年05月02日(土曜日)

アイキャッチ画像。
前回の記事「海外:緘黙のためのクラウドファンディング(前編)」の続きです。

インターネットで不特定多数の人々から小口資金を集める「クラウドファンディング」により資金調達を行なう動きが、緘黙関係でも海外で2014年から広まっています。そうした実例を前回に続いて見ていきたいと思います。

資金が集まらなかった例


緘黙の民間治療を受けるための基金?の開設資金


経済的な理由で、緘黙の専門的な民間治療を受けられない当事者のための基金?を開設しようとした方がいます。米国では緘黙に詳しい専門家がいて、緘黙のための民間治療を受けられますが、保険が適用されずに負担が高額になる場合があるのです。

目標額は、60,000米ドル(約710万円)に及びます。目標達成はなりませんでしたが、2人の支援者から計520米ドル(約6万円)が集まりました。プロジェクトの内容と目標額の多さから、その壮大な構想が窺えます。

↓ クラウドファンディング専門サイト Success Synergy Funding へのリンクです。
※ Severe Selective Mutism Anxiety Project
新しいウィンドウで開く

緘黙の子の治療費


前回の記事の冒頭でご紹介した、緘黙児の集中治療プログラム Confident Kids Camp を受けるための資金を募った方がいます。目標額の2,500米ドル(約30万円)には届きませんでしたが、5人の支援者から合計190米ドル(約2万円)が集まっています。

↓ クラウドファンディング専門サイト GiveForward へのリンクです。
※ Zoe's Confident Kids therapy camp fund
新しいウィンドウで開く

緘黙理解のための電子書籍を出版するための資金


イタリアの緘黙経験者が、英語でキャンペーンを行ないました。現れた支援者は1人、集まった資金は20ユーロ(約2,700円)でした。

↓ クラウドファンディング専門サイト Indiegogo へのリンクです。
※ Understanding Selective Mutism
新しいウィンドウで開く

緘黙の子と緘黙支援団体のための資金


米国の例。3歳の時に緘黙の診断を受け、16歳になった現在も声が出ない娘と、米国の緘黙支援団体 Selective Mutism Foundation を支援するための資金です。全く支援者が現れませんでした。

↓ クラウドファンディング専門サイト GiveForward へのリンクです。
※ Help Dominique Find her voice Selective Mutism
新しいウィンドウで開く

資金が集まったかどうか不明な例


緘黙児のための iPod touch 購入資金


Powell さんという小学校教師によるものです。iPod touch のアプリが、緘黙児がコミュニケーションを始めるのに役立つということで、購入資金を募集しています。募集は2011年。緘黙関係のクラウドファンディングとしてはかなり前の例です。

↓ クラウドファンディング専門サイト DonorsChoose.org へのリンクです。
※ No Limits to Learning
新しいウィンドウで開く

↓ Apple 社ウェブサイトへのリンクです。
※ Apple - iPod touch
新しいウィンドウで開く

現在募集が行なわれている例


緘黙の集中治療プログラム Brave Buddies を受けるための費用 その1


米国?の緘黙児の保護者が、息子のために。目標額は7,000米ドル(約83万円)で、現在17人の支援者から1,901米ドル(約23万円)の資金が集まっています。Brave Buddies は、冒頭でお話した Confident Kids Camp と似た緘黙児のための集中プログラムです。Confident Kids Camp は、Brave Buddies の影響を受けたものです。

↓ クラウドファンディング専門サイト GoFundMe へのリンクです。
※ A Moms CRY to help son NICK!
新しいウィンドウで開く

Brave Buddies を受けるための費用 その2


米国?の緘黙児の保護者が、娘のために。目標額は7,500米ドル(約90万円)で、現在24人の支援者から1,305米ドル(約16万円)の資金が集まっています。

↓ クラウドファンディング専門サイト GoFundMe へのリンクです。
※ Helping Madelyn find her voice
新しいウィンドウで開く

Brave Buddies を受けるための費用 その3


米国の緘黙児の保護者が、娘のために。目標額は10,000米ドル(約120万円)で、現在2人の支援者から200米ドル(約2.4万円)の資金が集まっています。

↓ クラウドファンディング専門サイト YouCaring へのリンクです。
※ Help Anna Find her BRAVE Voice!!!
新しいウィンドウで開く

緘黙の研究治療センター SMart センターで治療を受けるための費用


米国の緘黙児の保護者が、娘のために。目標額は5,000米ドル(約60万円)で、現在20人の支援者から900米ドル(約11万円)の資金が集まっています。SMart センター(Selective Mutism Anxiety Research & Treatment Center;場面緘黙症不安研究治療センター)は、かんもくネットの Knet資料でもお馴染み。

↓ クラウドファンディング専門サイト GoFundMe へのリンクです。
※ Help Lily find her voice!
新しいウィンドウで開く

むすび


見たところ、(1)本の出版などのプロジェクトのための資金を募るものと、(2)経済的負担が大きい民間治療を受けるための資金を募るものの、大きく2つに分けられるのではないかと思います。

どちらかと言えば後者の方が多いですが、考えてみると、緘黙関係のプロジェクトを計画する人よりも、治療を受けさせようとする保護者の方が多いでしょうから、後者の方が多いのはもっともです。

ただ、これは米国における緘黙の民間治療の現状が反映されているようにも思います。こうした治療には保険が適用されず、家計には経済的負担が重くのしかかります。ここでよく名前が挙がった Brave Buddies や Confident Kids Camp はほぼ同じような治療プログラムで、特に後者は費用対効果の高さ(費用の割りに治療効果が高いこと)を売りの一つにしていたはずですが、それでもこうした現状があります。また、緘黙のための効果的な民間治療を行なう施設は広い全米でも少なく、こうした施設を利用しようとすると、交通費に宿泊費と、これまた別の費用がかかるという事情もあるようです。