緘黙の素因、発現要因、持続要因

2015年06月07日(日曜日)

アイキャッチ画像。

緘黙の原因「3P」


場面緘黙症の原因を

素因(緘黙になりやすいリスク要因)
発現要因(引き金)
持続要因

の三つに分けた考え方があります。

もともと緘黙になりやすいリスク要因を持った子どもがいて、そこへ、何らかの引き金により子どもは緘黙を発症し、持続要因が働いて緘黙状態が続くという一つの考え方、モデルです。

英語圏の読み物では、緘黙の原因をこのように説明したものをわりと見かけます。例えば、英国では緘黙支援のバイブルとされる The Selective Mutism Resource Manual や、昨年(2014年)に発売された英国の本 Tackling Selective Mutism で、こうした説明がなされています。

この説明の元をたどると、Carmody L という方の1999年の学士論文(!)The power of silence: selective mutism in Ireland - a speech and language perspective(非公開)や、Cline T と Baldwin S の共著 Selective Mutism in Children に行き着きます。

ただし、それぞれの要因にはどういったものがあるかなど、詳細になると、書かれているものによって若干説明が違う場合があります。ただ、三要因の内容に、様々な要因が挙げられている点では共通しています。

この3つの要因に分けた説明は緘黙以外でも見かけることがあります。英語だと predisposing factors、precipitating factors、perpetuating factors だとして、3P だとか、3P model などと言うこともあります。

「緘黙基礎知識」の「原因は?」は慎重な説明


「緘黙基礎知識」を書き換えたいと前から思っているのですが、手が回らない状態が続いています。お恥ずかしい話です。

特に拍手数が比較的少ない「原因は?」は、最も書き換えたいものの一つです。

↓ 「緘黙基礎知識」へのリンクです。
◇ 原因は? (新しいウィンドウで開く

「原因は?」は次のような書き出しから始まり、全体的にそっけない書き方をしています。

場面緘黙症の原因ですが、はっきり分かっていません。様々な要因が絡んでいると考えられているようです。

保守的というか、慎重な書き方を心がけたため、こうなりました。ですが、もう少し踏み込んだ書き方をしてもよかったかもしれないと今では考えています。

書き直しをするとすれば、できるだけオーソドックスな説明を心がけたいものです。なんといっても「緘黙基礎知識」です。奇をてらいすぎるような書き方や、持論を積極的に展開するような書き方は避けるのがよいだろうと考えています。

先ほど取り上げた、素因、発現要因、持続要因と三つに分けた考え方を紹介するのもよいかもしれません。オーソドックスな説明の一つですし、この考え方は日本語圏ではあまり見かけないので面白そうです。

緘黙の原因についてはこの三要因に分けたもの以外にも様々な説明があります。ただ、緘黙の発症にはいくつもの要因が絡んでいるという点では、どの説明でも概ね共通しています。

リンク


↓ 長野大学の高木潤野先生の論文です。最初の方に、緘黙の原因論について先行研究をまとめた箇所があります。ここでは 3P モデルは紹介されていませんが、緘黙が「単一の要因によって発現するものではなく、多様な問題が背景にあることが古くから指摘されている」ことが詳しく書かれてあります。長野大学リポジトリへのリンク。

◇ 「緘黙の類型化に関する研究 : 家庭でもあまり発話のない1 事例の考察をとおして」
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