海外にも「選択性」の名称を変えてほしいという声が

2015年08月06日(木曜日)

アイキャッチ画像。

話さないことを選択しているわけではない


緘黙は、英語圏では Selective Mutism(選択性緘黙)という診断名で、一般にもこう呼ばれています。これを Anxiety Induced Mutism(不安誘発性緘黙)に変えてほしいという声が海外の一部で広まっています。

Selective(選択性)というと、緘黙児・者が話さないことを自ら選択しているように誤解されるからというのがその理由です。

↓ 署名サイト change.org へのリンクです。
◇ Change Selective Mutism to Anxiety Induced Mutism (新しいウィンドウで開く

署名サイト change.org を中心に名称変更を求める賛同者を集めるキャンペーンが2週間前に開始され、現在、491人の賛同者が集まっています。目標とされる500人への到達は間近です。なお、この署名には個人情報の提出が求められるため、気軽に署名することはできません。

2009年にも動きが


実は2009年にも、Anxiety-Induced Mutism に変えようという動きがありました。ですが、この時はあまり賛同者が集まらなかったようです。

↓ その時の記事
◇ selective mutism の名称を変えようという小さな動きが (新しいウィンドウで開く

緘黙は意図した行動ではないとして、一度診断名が変更された過去がある


緘黙は、英語ではかつて Elective Mutism という診断名でした。ですが、Elective(選択の、選択的)という語には、緘黙児・者が意図して話さない含意が出てしまいます。

このため、1994年に、現在の Selective Mutism という診断名に変更された経緯があります。Selective も日本語だと「選択的な」などと訳されますが、英語だと少し意味合いが違うらしいです。

当時診断名変更に関わった緘黙団体の、本来の希望


この診断名の変更は当時の研究が反映されたものですが、緘黙支援団体の尽力も背景にあったそうです。1991年に誕生した緘黙支援団体のパイオニア・Selective Mutism Foundation(SMF)は、この診断名の変更に影響を与えました。

ただ、SMF としては Involuntary という語がついた Involuntary Selective Mutism のような診断名を望んでいたそうです。Involuntary とは、「意志によらない」「不随意の」といった意味です。意図して話さないわけではないことを強調した診断名と言えます。

ですが、SMF の希望は部分的に反映されたにとどまり、involuntary を除いた Selective Mutism という診断名が採用され、今日に至ります。このことは、緘黙の専門ウェブ雑誌 Finding Our Voices 3号のインタビューで明らかになっています。

同じことを考えているのは海外にも


日本には、「緘黙児・者は、話さないことを選んでいるのではない」などの理由から、「選択性緘黙」ではなく「場面緘黙」と呼ぼうという動きがあります。同じことを考えている人は海外にもたくさんいるようです。

関連リンク


◇ 「選択性緘黙」を「場面緘黙」に変えようという論文  (新しいウィンドウで開く

文献


◇ Finding Our Voices Issue 3 https://smsupportmag.files.wordpress.com/2015/03/finding-our-voices-3rd-issue.pdf