スモールステップ vs 社会的に要求される水準

2015年09月03日(木曜日)

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スモールステップ。発話場面の拡大は、本人のペースで少しずつ進めていきたいものです。

ですが、社会的に要求される水準というものがあります。スモールステップで少しずつ話せるようになったのはいいものの、改善のスピードが遅いため、いよいよ社会に出る段になった時に、社会的に要求される水準のコミュニケーション能力に達しておらず、問題になることはないのでしょうか。

緘黙経験者の中には、現在は話せるようになって社会でなんとかやっているけれども、コミュニケーションがいまだに苦手で苦労しているとか、そもそも社会に出られないという人もいます。こうした人たちも、支援を受けたかどうかはともかく、緘黙児だった頃からスモールステップで前進してきたという人も少なくないのではないかと思います。

年齢の低い緘黙児の場合、社会に出るのはまだまだ先のことですが、青年期ぐらいの緘黙者だと、どうでしょう。社会に出るまでに時間的余裕が少ないのに、いまだ緘黙が続いているという人もいるはずです。そうした人の場合でも、スモールステップで進むしかないのでしょうか。

この問いに対する私の答えは、はっきり見つかっていないのですが、それでもスモールステップで行く以外に道は限られているのではないかと思います。残念ながら、急に緘黙を克服することはできません。ただ、「この道しかない」というわけでもなく、環境を一変させる方法もあると思います。遠くの学校に進学したり、引っ越したりして環境を変えれば、短期間で緘黙症状が大きく改善することもあるようです。ただ、この方法もそう簡単には使えないでしょう。難しいところです。

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↓ 「『このぐらいできなければ社会に通用しない』という考えを捨て、薄皮をむくようにほんの少しずつ本児の不安を緩和しながら、新しい経験を積ませるという方法をとった」事例が、21~25ページに掲載されています。PDF(1.54 MB)。

◇ 「すこしずつ、ほんのすこしずつ社会の海に漕ぎ出す~場面緘黙の生徒が少人数の分教室、通信制高校へ通学する過程で無理のない課題をクリアーしながら社会性を身に付けていった事例~」『平成26年度 精神疾患等のこころの病気のある児童生徒の指導と支援の事例集Ⅱ』全国病弱虚弱教育研究連盟、心身症等教育研究委員会、21~25。 (新しいウィンドウで開く