補足:「助けになったのは、親より友達」?

2015年09月21日(月曜日)

アイキャッチ画像。
前回の記事、「助けになったのは、親より友達」で、雑な部分がありました。補足記事を書こうと思います。

若い世代だと、「親/身内が助けてくれた」の回答が増える


前回の記事で、私はこう書きました。

こういうアンケート調査があります。海外の研究ですが、18歳以上で緘黙だった経験がある、つまり大人の緘黙を経験したことのある人を対象としたアンケート調査です。

↓ その論文が公開されています。緘黙支援団体 iSpeak へのリンクです。
◇ SELECTIVE MUTISM RESEARCH FINDINGS (新しいウィンドウで開く

これによると、「誰があなたを助けてくれましたか」の問いに対し、アンケートに回答した83名のうち18名が「友達が助けてくれた」と答えました。一方、「親/身内が助けてくれた」の回答は11名、「教師等が助けてくれた」は4名でした。親や教師よりも、友達が助けになったという調査結果です。

実はこのアンケート調査は、年齢が比較的低い層と、高い層に分けて行なわれています。この2つの層の境は、アンケート回答者の平均年齢33.43歳です。

○ 年齢が比較的低い層(33.43歳以下、51名)

「友達が助けてくれた」13名
「親/身内が助けてくれた」10名

○ 年齢が比較的高い層(33.43歳以上、32名)

「友達が助けてくれた」5名
「親/身内が助けてくれた」1名

このように、年齢が比較的低い層だと、「親/身内が助けてくれた」の回答者の割合は目立って増えます。これは論文の著者も、「カイ二乗検定」により、統計的に意味のある差だとしています(p=0.04)。

なぜ年齢層によって差が出たのかは分からないのですが、私が推測するに、90年代から緘黙の支援団体が誕生し、家族を対象とした情報提供が進んだことが一因ではないかと思います。このアンケート調査の回答者(全83名)は英国在住者が50名、米国が23名で、この二国の方が大半を占めているのですが、英国には92年、英国には91年に緘黙支援団体が設立されています。

年齢が比較的低い層に限ると、「友達が助けてくれた」が13名、「親/身内が助けてくれた」が10名で、これはもうほとんど差がありません。「助けになったのは、親より友達」と言うのは、苦しそうです。現在緘黙症状を持っている人たちのことに思いを致すと、私たちが注目するべきは、この年齢が比較的低い層ではないかと思います。

「助けになったのは、親より友達」は誤差の範囲かどうか


それから、私はアンケート結果の数字から、感覚的に「親や教師よりも、友達が助けになったという調査結果です」と書いてしまいましたが、厳密に見るとどうでしょうか。特に、全年齢層83名のうち

「友達が助けてくれた」18名
「親/身内が助けてくれた」11名

の差は、誤差の範囲でしょうか、それとも統計的に意味のある差なのでしょうか。

私は不勉強で、これを厳密に調べるにはどうすればよいか分かりません。強引にカイ二乗検定をやってみたのですが、違いますよね。カイ二乗検定を行なうには、「友達」「親/身内」の項目が、互いに排他的でなければならないからです。

カイ二乗検定の結果
↑ 強引に行ったカイ二乗検定の結果。Easy Chi-square Calculator で計算。

どちらにしろ、「友達が助けてくれた」者は、「親/身内が助けてくれた」に比べて少なくはない


ただ、どちらにしろ、「友達が助けてくれた」と回答した大人の緘黙経験者は、「親/身内が助けてくれた」と回答した者と比べても少なくはありません。

緘黙児・者というと親子関係がよく扱われる中、友達や同級生との関係について、もう少し注目してみたいような気もするという、前回の記事の趣旨は変わりません(記事のタイトルは、少し考え直した方がいいかもしれませんが……)。