[緘黙] 「富重ちゃん」 [ストーリー] 

緘黙ストーリー、中学生編の第4回です。通算第31話をお届けします。

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中学1年の新しいクラスでは、相変わらず緘黙し、笑えず、動きも鈍かったのですが、学校生活には概ね満足していました。先生方やクラスメイトたちは、話すことができない私を理解し、親切に接していたからです。

■ 先生は

中学校になると、学級担任の先生の他にも、教科担任の先生、部活顧問の先生と、多くの先生と接することになりました。

ですが、どの先生も、学校で緘黙する私のことを責めたり、発話を強要したりすることはありませんでした。私は大人しくて真面目でお利口な生徒と見られていたようで、褒められることこそあれ、叱られることはありませんでした。もっとも、先生方が場面緘黙症のことをよく理解されていたかどうかは、分かりません。

◇ 「富重ちゃん」

クラス担任の先生は、目立たない私のことをクラスで積極的に話題にしてくださいました。半ばひいきのようにも感じたのですが、私がクラスで孤立しないようにという配慮だったのかもしれません。このあたりの対応は、小学5〜6年の頃の担任・Y先生のものと似ています。

こんな逸話があります。ある日、先生が私のことを唐突に「富重ちゃん」と呼んだのです。この「ちゃん」付けがクラスでとても受けて、それ以降、私は多くのクラスメイトから親しみを込めて「富重ちゃん」と呼ばれるようになったのでした(ですが、片思いのKさんは、そう呼んでくれませんでした >_< )。

先生は、私がみんなから親しみを込めて呼んでもらえるような呼び方や、あだ名を考えたのでしょう。それにしても、中学1年の男子生徒にどうして「ちゃん」付けだったのかは謎です…。

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[緘黙] 緘黙治すより、勉強の方が大事? [ストーリー] 

緘黙ストーリー、中学生編の第3回です。通算第30話をお届けします(実にいい数字の並びです!更新日が3月3日、記事番号が300番だったらもっと良かったのに、惜しい!)。

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当時の私は場面緘黙症を知らず、自分が学校で話せないのは性格の問題と考えていました。そして、中学に入ったらこの性格を変えるんだと意気込んでいました。

ところが、学校生活を続けているうちに、性格を変える(場面緘黙症を治す)ことよりも、自分にはもっと大事なことがあるのではないかと考えるようになりました。それは、勉強でした。

■ なぜ、そこまで勉強が大事だったのか?

中学に入ると、小学校のときよりも勉強の負担が重くなるため、勉強の優先順位が高くなるのは当然のことでした。

それに加えて、私にはどうしても勉強を重視したくなる、様々な理由があったのでした。

◇ 高校の学歴がものを言う土地柄

私が住んでいた地域では、高校の学歴が非常に重視される土地柄でした。もしかすると、最終学歴よりも、どこの高校を出たかの方がこの地域社会では重視されるのではないか、と思われるほどでした。こうなると、中学の勉強に自然と力が入ります。

◇ 勉強重視の校風

私が住んでいた校区は文教地区で、教育に力を入れる保護者が多いことで知られていました。市内の中学校で統一テストをすると、だいたい私が通う中学校がトップクラスの成績だったと聞きます。こうした環境の影響も受けていたことでしょう。

◇ 両親が難関高校出身だった

しかし、最も大きかったのは、私の両親です。両親は中学時代、それそれは優秀な成績を収めていたそうで、県内でもトップクラスの高校に進学していました。このため、緘黙や対人恐怖は多少放って置いてもいいから、とにかくしっかり勉強して、親と同じように難易度の高い高校に進まないといけないというプレッシャーがあったのでした。

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[緘黙] 部活動選び [ストーリー] 

緘黙ストーリー、中学生編の第2回です。通算第29話をお届けします。

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[氏名]
富重

[住所]
江戸市篤姫1丁目2番3号

[部活動]
運動部

[自己PR]
気に入らない点があるかもしれないけど、よろしくおねがいします。

これは、中学入学後間もない頃に書いた私の自己紹介です。学級通信にクラスメイト全員分のものが掲りました。[氏名][住所]以外は、当時のものをそのまま書き写しています。

[自己PR]ですが、やけに下手に出ています。場面緘黙症の自分が気に入ってもらえるかどうか、自信がなかったのです。

[部活動]は運動部と書かれていますが、まだ入っていません。あくまで入りたいな〜ということです。新入生の入部の受付は、これからでしたから。

私は小学校の頃からスポーツが大変苦手で、これを何とかしたいと思っていました。そして、自分の対人恐怖傾向も、学校で緘黙してしまう傾向も、スポーツを通じて心身を鍛えれば治るのではないかと考えていました。バカです。このようなことで治るはずがありません。しかし、子どもの頃は真剣にこう考えていたのです。

そういうわけで、運動部に入ろうとしたのですが…?

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[緘黙] 中学校に入学する [ストーリー] 

桜緘黙ストーリー、今回から中学生編が始まります!第28話をお届けします。

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■ 中学に入って、変われるか?

「小学校時代は学校に行くと緘黙してしまった。人も怖かった。しかし、中学校に入ったら変わるぞ!」

…という思いは確かにありました。

ですが、新しく通う中学校には、小学校時代の顔見知りも多数入学します。どうもやりにくいですが、果たして変わることができるでしょうか。

[この付近の公立小・中学校]

α小学校:富重が2番目に通った学校。ひどくいじめられた。
β小学校:近くの小学校。謎が多い。
γ小学校:富重が3番目に通った学校。富重はここを卒業。
δ中学校:上記3つの小学校の卒業生は、ほとんどここに進学する。富重も。

■ 入学式当日

さて、いよいよ入学式の日がやってきました。学ランに袖を通し、緊張しながら校門をくぐりました。この瞬間、また「緘黙児に変身!」のスイッチが入ったような気がしました。

入学式は、厳かな雰囲気の中でとり行われました。式では、このタイミングでこういうセリフを新入生全員が言う、など事前にいろいろ指示がありました。私もそれに従って頑張って声を出そうとするのですが、ほとんど声が出ません。私の場面緘黙症は、小学校の頃と全く変わっていませんでした。

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